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腰痛について(総論)

4、腰痛総論
いわゆるぎっくり腰

物を持った瞬間に突然発症して、全く動けなくなることが多いのでぎっくり腰、または、キヤリ腰と呼んでいます。
ほかに、咳をした瞬間や顔を洗おうと腰をかがめた際、あるいは作業中軽く傷めたのち、我慢して仕事を続けた結果次第に重症化して動けなくなったものなど発症の仕方はさまざまです。

その中で椎間板ヘルニアなどのはっきり病名のつくものを除く腰痛を「いわゆるぎっくり腰」と呼んでいます。
ぎっくり腰は腰部を取り巻く筋肉や筋膜、靭帯、椎間関節などレントゲンには写らない軟部組織を傷めてその組織に炎症が起きている状態と思われます。
機械化以前の手作業だった時代は重労働と腰痛・神経痛という関係がありました。 
近年でもいわゆるぎっくり腰は多発しますが、せいぜい1週間以内で治ってしまうのが殆どですから、大した障害にならず軽く見られています。
しかし繰り返している間に椎間関節症や椎間板症、椎間板ヘルニア、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、脊椎分離症、すべり症などに移行し重症化する可能性がありますので、再発させないようにストレッチや腰部の筋群を強化する必要があります。そしてやがて重症化する入口だと思って慎重に対処すべきです。
腰痛が発生する要因は細かく分析すれば色々な要因がありますが、激しい運動や重い労働など、過剰な負荷によるものや中腰の多い仕事や長時間の座業などで発生します。
一般的には筋、骨、靭帯、椎間板、椎間関節等のユニットが、文明生活による筋力の退化や老化に伴う退行変性の影響を受けて発生します。
急性期は安静により最短時間で治りますが、その後、今まで通りの生活に戻れば、腰は根本から丈夫にはなりませんので、引き続き再発の可能性を秘めています。従って、脊柱と骨盤や臀部を取り巻く筋肉群を強化する必要があります。
特に、現代人の生活様式で退化しやすい筋は腹直筋と腹斜筋、腹横筋、長腰筋、脊柱起立筋などですが、主に腹側の筋群が弱くなります。しかし背筋は腹筋に比べて退化しにくい傾向があります。
丁度、土管に例えればU字形のものと円柱形のものとの力学的強度差に似ています。そしてU字管の欠けた部分が弱った腹筋に当たります。ですから腹側の筋を鍛えればU字管から円柱管になるわけです。
もちろん言うまでもなく圧倒的に円柱形の強度の方が上です。筋肉が弱いということは脊柱に直接重力がかかりやがて脊椎のユニット(椎間板、椎間関節、靭帯など)に炎症や変形などが発生してくるものと思われます。
従って腰が丈夫でいるためには脊柱を中心にして、それを円筒状に取り巻く筋肉群がバランスよく発達している必要があります。
いわば筋肉は天然のコルセットと考え、それを適度に強く維持しておくことです。有難いことに筋肉は何歳になっても適度に使ってやれば必ず発達してくれます。
3.jpgのサムネイル画像4.jpgのサムネイル画像文明生活では、腰椎を取り巻く筋肉群が退化しやすいわけですが、中心にある腰椎はブロック状で上下に積み重なっていますから、重力がかかったりすると特に4・5腰椎あたりは斜めの仙骨の上に乗っかっていますから、元々ずれやすい構造となっています。
人類は発生以来ひたすら直立歩行に適応して来た訳ですが、十分に適応しきれないうちに、今日再び近代文明によって急速に運動器系の退化が始まっているのです。
脊柱は椎間関節や椎間板、周囲の靭帯などで固定されていますが、最後に重要なのは筋力です。これが周囲をバランスの取れた力でまんべんなく引っ張ることで、腰椎に異常な力が加わることを防いでいます。
重量挙げの選手が重いバーベルを持ち上げられるのは、多少骨が丈夫ではあるが特別に大きくて強いというよりも、むしろ筋肉を鍛えてそれが強い為に、故障もせずに常人の及ばない力が発揮できるのです。

5椎間板ヘルニア総論
ヘルニアとは飛び出すという意味ですから、鼠径ヘルニアなどと他の部位でも使われます。
椎間板ヘルニアとは椎骨と椎骨の間に在ってクッションの役割をしている椎間板軟骨(線維輪)に過剰な圧力がかかり、繊維輪がひび割れて中身の髄核が後方に突出して、隣接している脊髄神経の根部を圧迫します。
すると神経根部に炎症が起きその部と神経支配領域に痛みとしびれと麻痺をきたす病態です。
5.jpgのサムネイル画像椎間板は厚さ7mm直径3cmのやや横長の楕円形の円盤です。硬い線維輪という軟骨と中心部の軟らかい髄核から出来ています。髄核の軟骨は水分を多量に含んで、搗きたての餅のようなものです。
髄核は外側の硬い線維輪に包まれて、体重や筋力から来る高い圧力を吸収しています。椎間板への圧力は立位を1とすると仰臥位では0.2 座位では1.7倍ですから現代人のデスクワークが、一番圧力がかかって、循環障害を起こし、絶えず椎間板を劣化させている訳です。
椎間板への圧力は体重76kgの人で立位では60kg 立位前かがみは210kg、パソコン業務座位で背中丸まっていると125kg、あぐらや体育座りは92kg、座位で腰を反ると65kgと、姿勢によって大幅に椎間板への圧力が変わります。
一番良い座り方は腰部がやや反り返った状態です。ヘルニアを防ぐには少なくても30分に1回5分間、反った状態を維持すると椎間板への圧力が解除されて栄養が行き渡り正常な強度が保たれます。
したがって労働衛生の立場から発生する前に社員教育として、長時間の座業によるヘルニアや腰痛の予防的姿勢を指導すべきですが現状は全くなされていません。
ヘルニアは理論的には頸椎、胸椎、腰椎の椎間軟骨が存在するところは、どこにでも発生する訳ですが、胸椎にはあまり発生せず、頸椎と腰椎に多発します。
その訳は椎間板は単なる圧力には強いが、屈曲や回旋力には弱いという性質があります。頸椎と腰椎には重力だけでなく、屈曲や回旋力が同時に加わるが、可動範囲の狭い胸椎には単純な圧力だけで、屈曲や回旋力が加わらない為にヘルニアが発生しないものと思われます。
仕事やスポーツでヘルニアが発生し易いものは屈曲して回旋運動(捻り)を行う種類の動作が伴うものです。そういう運動を強いるゴルフスウィングなどは椎間板にとって最も過酷な運動になります。
6.jpgのサムネイル画像屈曲して捻るという運動は人類の長い歴史上には無かったはずで、本来物を叩くには真上からたたくのが自然だし、脊椎の構造上理に適っています。屈曲して捻る動作はスポーツが始まってから出現したと思われます。椎間板ヘルニアは人類の解剖学的構造と直立歩行や座業の多い現代型生活様式やスポーツなどから宿命的に発生します。
頸部と腰部に多発する理由は、重力がかかる部位である事と同時に可動範囲が大きいためと、それにひねりが加わることで余計負担が増すことが原因と考えられます。
7.jpgのサムネイル画像脊柱の各椎体の支点は後方にある訳ですが、頸部や腰部の前かがみの姿勢では椎間板軟骨に持続的な圧力が加わり、椎間板内部の体液が排除され、栄養障害が発生します。
短時間で圧迫が解除されれば新しい体液が流れ込み栄養される訳ですが、現代人の仕事はパソコンなどで長時間の座業ですから、うっかりすると頸部 腰背部が自然に丸まっています。
この丸まっている姿勢は椎間板に圧力が加わったままの姿勢なのです。つまり持続的に圧迫されることで組織が循環障害から褥瘡(床ずれ)が発生するのと全く同じメカニズムでヘルニアは発生するわけです。
逆に脊柱をそらすと椎間板の圧力は解除され、さらには陰圧になりますから、新しい体液が流れ込み椎間軟骨に栄養が行き渡ります。従って加圧と陰圧を分単位で、交互に繰り返せば椎間板は健康に維持されます。
しかし現代生活の多くはクルマの運転手やデスクワークなど長時間の座業をしていますから、その間に立ちあがるか、歩く、あるいは脊柱を後ろに反る様な動作をしなければ、持続的に圧迫が続き椎間板は栄養障害に陥り劣化します。
そういう状態になるとMRI画像で劣化したことを確認できます。長時間の背中を丸めた座業はいつヘルニアになっても不思議ではなく、僅かな力で、あるいは、いつとはなしにヘルニアが発生します。
これを私は静かなヘルニアと呼びます。椎間板には栄養血管が分布していないため持続的な圧迫で循環障害の回復が遅いのです。これを栄養するには頸椎も腰椎も胸椎も最低30分に1回5分間の圧力解除(反った姿勢)の時間が必要なのです。
ヘルニアの髄核が突出する方向に脊髄神経根があれば圧迫されて、その神経の支配領域に神経痛が出る訳ですが、もしそこに神経根が無ければ神経痛は発生しない訳です。
沢山の椎体が連なって出来ている脊柱管には、椎体を束ねたり、支えたり、椎間板と髄核の後方脱出を防いでいる後縦靭帯があります。
この靭帯は椎体が頸椎から腰椎にかけて次第に大きくなるのとは反対に、腰部の下方に行くほど細くなっていて、髄核が斜め後方へ脱出し易い構造になっています。
皮肉なことにちょうど斜め後方へ脊髄神経根が走っていますから、圧迫されて坐骨神経痛などが出やすいのです。この腰部の下方ほど、後縦靭帯が細くなることは直立歩行の人類にとって、ヘルニアが発生しやすいという矛盾があります。
これはまだ直立の時代が短くて適応しきれていないというべきでしょうか。
8.jpgのサムネイル画像9.jpgのサムネイル画像 従って野球やゴルフなどで椎間板に重力が加わった状態で、屈曲と回旋が同時に行われた場合は、破壊力が極めて大きくなるのでヘルニアになり易いから、注意しましょう。

6椎間板ヘルニア各論
(1) 頸椎椎間板ヘルニア

頸部は上に頭が載っていてその重量が約5kg在り結構な重さです。それが常時首に乗っかって頸椎の椎間板に負荷をかけ続けます。現代人のほとんどはパソコンなどのデスクワークが多く、長時間にわたって、頸部の前傾姿勢を維持しています。
椎体は後方に椎間関節があり、ここを支点として前後左右に動きます。首をまえにかがめた姿勢は、椎間板が持続的に圧迫されて循環障害から栄養障害となり椎間板が弱くなります。すると、これと言ったきっかけもなく自然発生的に、あるいは極めて小さい負荷で頸椎ヘルニアが発生します。
典型的な症状としては首から肩、腕、時に指先まで痛みとしびれや麻痺が出ます。軽い場合は首、肩、上腕ぐらいで済む場合もあります。
また典型的なヘルニアの症状ではなく、長期にわたる頑固なこりと言う形で出る場合が結構多いですが、単なるコリでないことは、触るとジョリジョリという大きな音がして筋肉が線維化し、筋膜も肥厚しているのがはっきりと分かります。
これは長期間にわたり、循環障害が発生した結果です。この方たちを単純X線で撮影しても、椎間板は直接写らないため、異常なしと出たとしても、直接、軟骨を写し出すMRIで検査すると椎間板が変性していたり、場合によっては少し突出していることが珍しくありません。
その際軽い程度のものを椎間板症と呼びます。検査技術の発達に伴い、頸椎ヘルニアと診断される方は結構多くなりました。基本的に何も原因が無く症状だけがあるということはあり得ない訳で、現行の技術レベルでは分からないだけのことです。
(2)急性の腰椎椎間板ヘルニア
前述のようにスポーツや重量物を持つなどして、その瞬間に腰から足に掛けて発生するものを急性の腰椎椎間板ヘルニアと呼びます。
そのメカニズムは、椎間板に亀裂が入り中味の髄核が後方に突出して、脊髄神経根部を圧迫し、その神経の支配領域に痛み、シビレ、マヒなどを発生させるもので、通常椎間板に急激に強い圧力が加わってギックリ腰として発症するものです。
(3)静かなヘルニア
「静かなヘルニア」というのは私が名付けたものですが、近年非常に増えています。それは次の理由によります。
※ 静かなヘルニア発生のメカニズム
現代の労働形態はパソコン使用の事務職などで座業が多いわけですが、その姿勢は首と腰を前屈したまま、長時間机に向かうことになります。
すると椎間板(椎間軟骨)に持続的な圧力が加わり循環障害と栄養障害が発生します。長時間そういうライフスタイルを繰り返していると椎間板がやがて劣化変性を起こし、弾力が低下してわずかな力で、あるいは、いつとは無しに亀裂が入り、そこから中味の髄核が普通、斜め後方に飛び出して、脊髄神経根を圧迫し炎症が発生した状態が、「静かな椎間板ヘルニア」です。
因みに神経を圧迫しただけでは痛みは出ず、炎症が発生して初めて痛みが出ます。椎間板ヘルニアは軟骨がひび割れて、中身の髄核が飛び出した状態ですから、言い方を変えれば椎間軟骨の骨折ということも出来ます。
発生してから苦労して治療するよりは、予防が一番ですがそれには30分に1回5分間、首、腰を軽く後ろに反った状態維持します。
そうすると椎間板内部の圧力が陰圧になり、そこへ組織液が流入して栄養を補給しますから、生き生きと弾力も保たれます。
5分間という意味は、軟骨内部の液体はゆっくりしか移動できませんから、椎間軟骨全体に栄養が行き渡るには圧力が解除されてから最低5分間は必要なのです。
10.jpgのサムネイル画像 ※ 椎間板の栄養障害発生のメカニズム
脊柱の前屈の持続で栄養障害が起き、後屈で栄養が補給されるわけは、脊柱の構造によります。
図のように脊柱は後方に椎間関節があり、椎間板後縁付近を支点として前、後屈を行っていますから、前屈では上下の椎体が椎間板を挟みつけるような力が働き、椎間板の内圧が高まります。
この時栄養を司る組織液が排除され、それがデスクワークや運転などで長時間にわたると、栄養障害と椎間板の劣化が起ります。逆に後屈時は椎間板が陰圧になり、組織液が流入して栄養が補給される訳です。
丁度、褥瘡が発生するメカニズムと同じです。褥瘡は長時間同じ姿勢で寝ていると骨の突出部と布団の間で挟まれた皮膚や筋肉が持続的に圧迫されて、循環障害を起こし臀部や踵などが腐って来ますが、静かな椎間板ヘルニアは軟骨部分がこれと同じ原理で変性、破壊され中味の髄核が飛び出したものです。
11.jpgのサムネイル画像 4 椎間板ヘルニアの予防法
①  静かなヘルニアの予防

ヘルニアは発生のメカニズムが分かれば予防は可能です。静かなヘルニアの予防は椎間板に持続的な圧力が加わることを避けて、時々椎間板が陰圧になるように脊柱を後ろに反った姿勢をしてあげればよいのです。
具体的には30分ごとに1回、頸部と腰部を別々に反らして5分間維持すればよいのです。その際、大事なことは長時間座ったままで、あとからまとめて沢山反らしても意味がありません。
あくまでも30分に1回5分間の割合が理想です。ヘルニアが発生するメカニズムは寝た切りの患者さんに褥創(床ずれ)が出来るのと同じです。
床ずれは自分で動けない患者さんが、寝た切りで一定の部位が重力で持続的に圧迫されそこの血液やリンパ液、組織間液が排除され栄養障害から組織に壊死が発生したものです。
その為に時々体位変換をするのです。立っている時も常にかかとに重力がかかっていますから、もし片足で長時間立っていたら踵に床ずれ(壊死)が起きます。
しかし私たちは無意識に体重を交互に移し替えていますから床ずれは発生しませんし、何時間歩いても大丈夫なのです。
※静かなヘルニアの予防法として、大切なことはデスクワーク時の姿勢です。現代の労働スタイルは大半の方がコンピュータを使ったデスクワークで長時間の座業です。
その際、何気なく座っていて腰椎が丸くなったままですと、支点が椎体の後方にあるため、椎間板に持続的な圧力が加わり続け、椎間板が劣化してひび割れしてヘルニアが発生します。したがってそれを防ぐには姿勢が大事です。
大抵の会社では個人別の身長を考慮せず、一律同じ高さの机ですが、人によっては高さが不適切な場合があり、それが原因でヘルニアが発生する可能性が大いにあります。
机が低すぎると脊柱全体が丸くなり、特に腰椎の椎間板に圧力が加わるため、腰椎椎間板ヘルニアが発生しやすくなります。
頸椎も重い頭部を乗せて、長時間うつむいていますから、やはり椎間板に栄養障害が発生し、劣化して頸椎ヘルニアが発生します。
したがってヘルニアを防ぐためには、脊柱全体が生理的に理想の姿勢にあることが望ましいのです。その姿勢は腰椎と頸椎が適度に反っていて、椎間板の圧力が破壊を生むほど高くならないことです。
そういう条件になる理想的な机の高さは、その人の身長の45%前後が最適です。
また椅子に関しては一般に、調整出来る構造のものがほとんどですが、これは身長の28%前後が理想の腰椎前弯になります。
しかし、ほとんどの事務用机が調整できない構造ですから、自ずと椅子も机に合わせて、不適切な高さにならざるを得ないのが実情です。
一生の大部分を過ごす、職場の机と椅子は健康に大きな影響を与えます。したがって、机や椅子は豪華で有る無しに関係なく、最低限、高さ調整が可能な構造であるべきですし、社員さんも自分に合わせて、それらを調整するのが当たり前という知識と意識が必要です。
机の高さ調整(身長の45%)の簡単な方法としては、机の各脚の下に不足分の高さに見合った雑誌や板、角材などを敷いて調整します。
そうしておいて、椅子を28%前後に調整すれば脊柱が理想的な姿勢に保持出来ます。椅子の高さ28%の意味は、下腿(膝から下)を垂直にして椅子に座った場合、膝の位置より股関節の位置がやや高くなるため、バランスをとろうとして自動的に腰椎が反ります。
すると各椎体は支点が後部にあるため、椎間板への圧力が減り、よく体液が環流し栄養される結果、椎間板が丈夫に維持され、ヘルニアが予防出来るのです。
次の写真は椅子が低いため背中と腰部が丸くなり、椎間板の圧力が高くなって圧迫による栄養障害から椎間板がもろくなりヘルニアが発生しやすくなります。
もし、もう少し腰をそらしたい場合は、足部を後ろに引いていくと、それにつれて膝の位置が低くなり、バランスを取ろうとして腰椎が反り返りヘルニアを予防出来ます。
12.jpgのサムネイル画像13.jpgのサムネイル画像また机の高さが身長の45%の意味は、パソコン画面が高い位置に在ると画面を見る際、頭頸部が下向きになり過ぎないため、頸部椎間板や周辺筋肉の負担が減り頸椎ヘルニアや肩こり、頸肩腕症候群などになりにくいのです。
パソコンはデスクトップ型とノートパソコンでは画面の位置やキーボードの高さや傾斜度が異なります。
ノートパソコンは画面が低いので机を5~10㎝高めにすると頸部が疲労しにくいと思います。また腕の重みは肩こりに影響しますが、その重みについては最適な高さのキーボードに乗せた手根部が支えるために、腕の重さはゼロに近くなりますので、肩や頸部の筋肉で腕を吊り下げている負担が軽くなり、凝りにくくなります。
次の図は椅子が低いため背中が丸くなり腰に悪い姿勢です。
14.jpgのサムネイル画像 次の図は胡坐(あぐら)をかくと背中が丸くなり腰の椎間板の圧力が高くなる悪い姿勢です
15.jpgのサムネイル画像次の写真は正座により腰椎が理想的に反り返り、椎間板の圧力が解除され栄養が行き届く良い姿勢です。
股関節が膝より高くなるため、腰椎が理想的に反り返り、椎間板への圧力が軽減され、保護される良い姿勢です。
16.jpgのサムネイル画像 姿勢の良し悪しは、短時間では、あまり差がでないですが、長時間に及ぶと微妙な姿勢の差が加速度的に疲労や凝り、痛みなどの症状を形成し、それらが過重され、長期間に及ぶと椎間板や椎体の不可逆的な形質変化まで引き起こします。したがって出来るだけ適切な姿勢に配慮、工夫が必要です。
要は脊柱全体がすらりと、天を衝くような姿勢を維持すれば、各椎間板に圧迫ストレスが加わらないため、椎間板ヘルニアが予防出来ます。
下図は脊柱の一般的な形
17.jpgのサムネイル画像 さらに30分に1回5分間、腰や頸部が反りかえる姿勢をすれば、一層予防ができます。
会社としては大事な社員さんが、生涯無事に過ごせるように、入社時に労働衛生の一環として、このことを指導すると健康でよい仕事をしてくれるでしょう。
18.jpgのサムネイル画像②  急性のヘルニアの予防
椎間板は圧力には強いが屈曲と回旋力には弱いので、そういう動作を避ければよいわけです。物を持ち上げるときは脊柱を反らした状態を維持したまま、膝を曲げて脚力で持ち上げると、かなり重いものでも安全に持ち上げることが出来ます。重量挙げの選手が持ち上げるときの姿勢を思い出して下さい。
脊柱を反らした姿勢は脊柱起立筋がしっかり収縮して強度を保っていますので、安全です。逆に腰を屈曲して捻る動作の多いスポーツや力仕事では、自分の能力の限界を超えないようにしておくことがコツです。
そして何よりも文明化による筋力低下が、根底にありますから常日頃、脊柱を取り巻く筋群とその関連筋群を、適度に鍛えて一定の筋力を維持する努力が必要です

5椎間板ヘルニア各論
(1) 頸椎椎間板ヘルニア

頸部は上に頭が載っていてその重量が4~5kg在り結構な重さです。それが常時首に乗っかって頸椎の椎間板に負荷をかけ続けます。
現代人のほとんどはパソコンなどのデスクワークが多く、長時間にわたって、頸部の前傾姿勢を維持しています。椎体は後方に椎間関節があり、ここを支点として前後左右に動きます。
首をまえにかがめた姿勢は、椎間板が持続的に圧迫されて循環障害から栄養障害となり椎間板が弱くなり、これと言ったきっかけもなく自然発生的に、あるいは極めて小さい負荷で頸椎ヘルニアが発生します。
典型的な症状としては首から肩、腕、時に指先まで痛みとしびれや麻痺が出ます。軽い場合は首、肩、上腕ぐらいで済む場合もあります。
また典型的なヘルニアの症状ではなく、長期にわたる頑固なこりと言う形で出る場合が結構多いですが、単なるコリでないことは、触るとジョリジョリという大きな音がして筋肉が線維化し、筋膜も肥厚しているのがはっきりと分かります。
これは長期間にわたり、循環障害が発生した結果です。この方たちを単純X線で撮影しても、椎間板は直接写らないため、異常なしと出たとしても、直接、軟骨を写し出すMRIで検査すると椎間板が変性していたり、場合によっては少し突出していることが珍しくありません。
その際軽い程度のものを椎間板症と呼びます。検査技術の発達に伴い、頸椎ヘルニアと診断される方は結構多いと思われます。基本的に何も原因が無く症状だけがあるということはあり得ない訳で、現行の技術レベルでは分からないだけのことです。


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19.jpgのサムネイル画像20.jpgのサムネイル画像 圧迫されて炎症が及ぶ範囲に対応した、支配領域に痛みや知覚異常が発生します。炎症が神経繊維の深部まで及べば下肢の先端まで影響しますが、圧迫が軽く炎症範囲が狭ければ痛みやしびれの範囲もせまいものとなります。
①  自分で出来る頸椎ヘルニアの治療法
ヘルニアは椎間板がひび割れて、中にあるクッションの役割の髄核が、突出して脊髄神経根を圧迫したために炎症が起きて、痛みやしびれ、麻痺などが発生していますから、対策は神経根の炎症を抑える目的で、髄核が神経根に触らないような姿勢を維持すれば治ります。
つまり痛みを誘発する動作や姿勢を避けて、一定期間過ごせば治ります。
具体的には枕の高さや角度を痛みが出ないように工夫する、重いものを持たない、首を大きく動かさない、クルマの運転、特にバック(後ろを振り返る動作)が良くないのでなるべく運転はしないことです。やむをえずやる時は、首を固定したままで、捻る際は、腰から上半身を捻るなど、一貫して生活全般に痛みを出さない工夫をする。
ドルフと言って頸椎を固定する医療用器具がありますので、頭が重くつらい感じがする時は、試しに付けてみて楽な感じがあれば付けるべきです。
その際筋肉が弱るからなるべく付けないと考えるのは間違いで、コルセットやドルフは、あまり筋力低下はしないことが最近の研究で分かってきましたので大丈夫です。鍛えるのは治ってからで充分です。
②  頸椎ヘルニアの予防法
鞭打ち症やスポーツ、転倒、落下などのけがが原因のヘルニアもありますが、それらは怪我をしないよう気を付けるしかありません。
静かに発生する頸椎ヘルニアに関しては頸部の長時間の前傾姿勢が椎間板の栄養障害になり、劣化してヘルニアになりますので、栄養を届ける為に椎間板の圧迫を、解除してあげると、循環が回復して栄養が行き渡りますので、椎間板が健康に維持されます。
具体的には30分に1回5分間首をなるべく後ろに反って、そのままゆっくり左右に振るだけで良いのですから習慣にしたいものです。
なぜ5分間かと言えば椎間板は軟骨で出来ていますから、栄養素を含んだ液体が流れにくい為、5分間と言う時間が必要なのです。その際もし痛みや不快感があればこの動作はやるべきではありません。
予防動作はあくまでも症状が出ない範囲内に留めます。

6 腰椎椎間板ヘルニアの発生のメカニズム
椎間板ヘルニアの痛みの発生メカニズムを詳細に辿って見ましょう。椎間板ヘルニアは、大きな外力を一度に受けて椎間軟骨がいっきに破壊され、内部の髄核が後方に突出して、神経根を圧迫して発生する急性のものと。
もう一つは、椎間板に持続的な圧力が長期に亘って加わった結果、椎間板に循環障害が起き、椎間板が劣化して弾力が無くなり、わずかな外力や自然発生的に発症する緩慢型(静かなヘルニア)の二通りがあります。
どちらも結果として、椎間板にひびが入り内部の髄核が斜め後方に突出して、これが脊髄から分かれた神経の根っこの部分を圧迫します。そして、この神経根部に炎症が発生すると、その神経の支配領域に痛みとシビレと知覚マヒ、運動マヒが発生します。
その際、神経根の炎症の範囲や深さに症状の程度も比例します。例えば、神経根の炎症部分が少なければ痛む範囲は殿部ぐらいまでで止まっていますが、炎症部分の範囲が大きければ下腿や足指の先の方まで痛みやシビレ、麻痺などの症状が及び、程度もひどく出ます。
下図は椎間板の髄核に圧迫されて炎症を起こした神経線維の断面図です(図の斜線の部分)炎症が深部に及ぶほど下肢への症状が増加します。
21.jpgのサムネイル画像22.jpgのサムネイル画像 一般にヘルニアと言えば腰椎椎間板ヘルニアのことを意味するぐらい、ポピュラーになっています。それほどやたらに多いということです。
文明生活で重労働をしなくなったにもかかわらず、減らない理由は過度な力が加わって発生する、急性のヘルニアよりも座業でゆっくりと発生する静かなヘルニアが増えている証拠です。
人類が直立歩行を始めた時から腰痛は宿命と言われていますが、重労働から解放され、文明生活で長時間座業をするようになって、新たな問題を抱えたことになります。
静かなヘルニアは座位で椎間板に長時間にわたり圧力が加わることで、椎間板が栄養障害になり発生しますので、静かなヘルニアも文明生活による生活習慣病と言うことが出来ます。
静かなヘルニアは、組織に対する長時間の持続的圧迫による循環障害が原因で、褥瘡(床ずれ)が発生する原理と全く同じなのです。これを防ぐには腰痛やヘルニアなど、一連のトラブルを予防する、生活習慣を身につける必要があります。
下のMRI画像は腰椎の椎間板が栄養障害をきたし、弾力性と強度が劣化し、ついに破れて内部の髄核が後方に突出して、脊髄神経を圧迫しているリアルな画像です。

当該椎間板は二つ上の正常な椎間板の白さが、くっきりしているのに比べて黒ずんで、しかも厚さが減って後方にとび出しているのが分かります。
さらにその上下の椎間板もやや黒ずんでいて、既に一定の劣化が始まっています。従って次にまたこのどちらかでヘルニアが発生する可能性があります。
腰椎は4番5番あたりが最も負荷がかかるのでヘルニアが発生し易いですが、程度の差はあるものの、腰全体で似たような条件に置かれています
23.jpgのサムネイル画像腰椎椎間板ヘルニアによる脊髄神経圧迫MRI画像 (Wikipedia-椎間板ヘルニア参照―)

次のMRI画像で上の二つの図は腰椎部の真ん中で、縦に割った断面図で右が正常で左がヘルニアのものです。
左の画面で赤丸内が大きく突出した髄核で、それが脊髄神経を顕著に圧迫しているのが分かると思います。かなり重症の典型的なヘルニアです。
下の二つの図はその部の横断面の図です。やはり右が正常で左がヘルニアです。赤いまるで囲まれた部分が大きく突出した髄核です。
後方(図の下方)にある三角形で白っぽく写っている脊髄を、かなり圧迫しているのが分かると思います。右の正常な画面の同じ部分と比較すると異常が良く分かります。
24.jpgのサムネイル画像25.jpgのサムネイル画像
腰椎椎間板ヘルニアの圧迫の度合いが増す程、神経根の炎症範囲も広がり、それに比例して支配神経領域の障害の範囲も増えることを現わしています。

腰椎の間にある椎間軟骨が破裂して中身の髄核が後方へ飛び出して脊髄神経を圧迫してその神経の支配領域に痛みが出ている状態が椎間板ヘルニアです。


7 腰椎椎間板ヘルニアの治療法
(1)画期的な治療法として、当院が35年前、世界で初めて開発した「ハリ通電電気分解神経ブロック療法」があります。
これは神経根を圧迫して痛みを誘発している髄核まで針を刺入し、そこで電流を流して髄核を電気分解をし神経根への圧迫を解除して、治していく方法です。これは手術をしなければ治らない重度なヘルニアでもかなり効果がありますから、手術をしたくない方は是非ご相談下さい。
それと併用して、つぶれた椎間板を再生する唯一の栄養剤として、北海道の八雲町で採れるカミオシキガイという貝化石を飲むと、さらに治りがよいのでお勧めします。
ヘルニアの自分で行う範囲の治療については、MRI画像を見てイメージを持つと安静の意義が良く理解出来て、成果が上がり易いですから、検査をしたら有効に画像を利用すべきです。
椎間板ヘルニアの圧迫の程度は、姿勢や動きによって強まったり弱まったり、または解除されたりしますから、なるべく圧迫を解除する姿勢を維持しておくことが、早く治ることにつながります。
なお、この圧迫された神経根部は炎症が起ることで、腫れて体積を増していますから、余計に圧迫が強まり炎症と痛みが増強するという悪循環に陥ります。これを治すコツは、私達のほとんどが経験したことのある、靴づれを治す要領と同じ原理です。
つまり、靴づれの水泡や赤むけは、靴のかかとの部分との繰り返しの摩擦で炎症が起きたものですから、靴をやめて下駄や草履に履き替えて、赤むけを触らないようにしておけば、2~3週間で治ってしまいます。
ヘルニアもこれと同じ原理で治っていきます。そして突出した髄核は時間が経つとともに水分を失い、次第にしぼんで体積を減らすと共に、白血球のマクロファージ(貪食細胞)の食作用により分解・縮小しますので、神経根への圧迫が解除され神経痛が治って行きます。
同時に腫れて体積が増していた脊髄神経根も、こすらないでおくと、炎症と腫れも引いて体積が減りますから、髄核と神経根が、触れ合わなくなりますので炎症と痛みも軽快し、治癒していきます。
このように順調に治るか否かは、動きや姿勢にかかわってきますから、自分の体と相談してひたすら、痛い姿勢や動作を避けて生活していれば、確実に治っていく訳です。要は皮膚にある傷口と同じで、擦れば痛んで悪化するし、触らなければ痛みも出ず、治るということです。
要は腰の内部で傷口が発生しているという認識を持って、その傷を触らないようにイメージして生活すると高い確率で治って行きます。1日痛みを出さなければ1日分、3日出さなければ3日分治って行きます。
ヘルニアの出方によっては座った姿勢で痛みが増強したり、立った姿勢で増強したり、また寝る姿勢も仰向け、うつ伏せ、横向きと主に3通りありますが、要は傷んでいる神経が一番緩んだ状態だと、椎間板から突出した髄核の圧迫を受けない、あるいは髄核と神経が触らない姿勢がよいということになります。
髄核も姿勢によって出っ張る度合いに差がでます。例えば低い椅子は髄核が多く突出して、高い椅子は少ない傾向にありますから、椅子の上に座布団や雑誌などを置いて調整が必要です。髄核と神経根が触っているかどうかは、痛いか痛くないかが基準ですから自分で判断できます。
つまり治療の要点は治るまでの期間、痛まない姿勢をどれだけ続けて維持できるかにつきます。逆に痛みを出せば、その程度に比例して治りが遅れます。ヘルニアの養生は、普通は痛む側を上にした横向きで、股関節と膝関節を適度に曲げた姿勢をとります。
そして下肢全体にわたって毛布や布団を10~15cmぐらいの厚さ(股関節と膝関節が適度に屈曲した状態で、それぞれが並行の時、脊髄神経が一番緩んだ状態になり痛みが出にくい姿勢です)にして挟んで置く姿勢が脊髄神経を一番安静に保ちますが、しかし個人差がありますから、あくまでも一番痛みが来ない状態を自分で探し出して下さい。
急性期で重症の場合はどの姿勢でも、完全に痛みが無くなる姿勢はありませんが、中でも一番楽な姿勢を探して安静にしていると、やがて動かなければ痛まない時期が来ます。
次に起き上がったり、ゆっくり歩いても痛くない状態という具合に、次第にステップアップした活動が出来るようになります。その際の動きの程度は、痛みを出さない範囲内に限ることは言うまでもありません。
※ヘルニアの神経根症状には主に痛み、シビレ、麻痺の3種類があります。神経はただの圧迫ではシビレ、あるいは麻痺だけですが(たとえば長時間の正座で一時的に麻痺とシビレが発生します)神経に炎症が発生すると痛みが伴います。
治る過程での順序としては、まず痛みが先に楽になり、麻痺とシビレは遅れて回復します。その際、患者さんは痛みが無くなったら、今度はシビレが強くなったと、いかにも悪化したように感じますが、それは違います。
痛みが強かった時もしびれと麻痺はあったのですが、痛みの感覚に打ち消されて、感じなかったものが痛みが消えて感じるようになっただけで、順調に治っている過程ですから心配無用です。
そして大切なことは治癒後の再発予防です。椎間板に栄養を送り込む為に30分に1回5分間腰椎を反らすことです。同時に脊柱をぐるりと取り巻く筋肉群を適度に強化しながら、その後の再発予防に努めることだと思います。
(2) 要注意はヘルニアの治りかけと、軽症ヘルニアの運動の考え方
痛みの程度が軽いヘルニアの場合、歩こうと思えば歩ける訳ですが、以前から毎日歩くことを日課にしているので、休まず、頑張って、痛みが出現したらその時点で休憩しながら、毎日歩くことにしているという人がいます。
一見正しい判断の様に聞こえますが、これが大間違いです。痛みが出てから安静にしても既に、神経根を散々擦ってしまっていますから、毎日新しい傷と炎症を作っていることになります。
安静にするほど確実に治って行きますが、百歩譲って運動の最中と、運動後も痛みが出なければ、その運動の種類と運動量はやってもよいと判断します。
腰椎椎間板ヘルニアは腰から足にかけて症状が出るためか、歩くことで治そうとする人の多いのが特徴です。例えば頸椎椎間板ヘルニアで首から腕にかけて症状が出ている人が、歩いて治そうと考える人はあまりいません。
ここが実に不思議な人間だけの特徴で、敢えて悪い部位を使いながら治そうとする、典型的な人間心理です。もう一つの理由は、ウオーキングは運動の代表で、健康の為には良いに違いないというイメージが重なっていること。
中でも傷める前からウオーキングしている人は、せっかく何年も歩き続けてきたのだから、今更止める訳にはいかない、などの理由で歩くことに強くこだわりますから、長期間痛みを我慢してしつこい神経痛に追い込んでしまっている方が多いです。
そういう努力家は安静の重要性を説得するのに苦労しますが、そういう人でも安静にすればよく治ります。
(3)安静のとり方で治りが全く違う
痛む場合パルス状に安静をとってもあまり効果が出ません。例えば、1日安静にして翌日は動く、また次の日安静というようにし、一日おきの安静を計5日間とった場合と、5日間連続で安静をとった場合では、圧倒的に連続の安静の方が治りが早いです。
パルス状の安静は丁度治りかけた傷をひっかくと、また出血して新たに傷ができることと同じです。また椎間板にかかる圧力は立位を 1とすると臥位は0,2 座位は1,7倍という報告があります。つまり座位は寝ている時の8,5倍の圧力がかかる訳ですから、寝ている姿勢の方が圧倒的に椎間板の安静が図れ、治りやすいわけです。
(4)椎間板内の髄核の働きはパスカルの原理の応用
髄核は、加わった力を分散して衝撃を和らげて、椎間板を破壊から守るのが役割です。そのメカニズムはパスカルの原理に従います。
それは閉じ込められた液体の一部に力を加えると、全ての部分に同じ力で伝わるという法則です。つまり脊椎に加わった力を均等に分散し、柔軟に方向を変えて前後左右の屈曲に対応するという素晴らしい働きです。
髄核はつき立ての餅のような軟らかさで、半分液体としての性質があるからパスカルの原理に従うわけで、実に見事に出来ています。もし椎間板の構造が単なる固体で出来ていたら、人類の活動はもっとはるかに不自由で、腰痛も頻発し、重症化することでしょう。
(5)椎間板ヘルニアの手術の適応範囲
原則として激痛で一時も耐えられない場合や、1~2週間の安静治療にもかかわらず全く症状が軽快しない、あるいは急ぐ必要などの状況がある場合以外、手術は見合わせた方が良いと思います。というのも椎間板ヘルニアは1年後には95%が回復するという統計があります。
また手術してもしなくても10年後の結果は同じという別な統計もあります。これは飛び出した髄核が時間とともに縮小して、神経根の圧迫が解除され炎症が治まるからです。近年ヘルニアのレーザー療法など、体への負担の少ない治療も開発されていますから、判断できかねる人は専門医に相談されるとよいと思います。
ただしどこまでも我慢して良いものではなく、排尿障害など骨盤臓器の機能に強い影響が出る場合は手術を検討すべきです。

8他の腰痛症
(1) 変形性脊椎症

これは一定の年齢になると長年にわたり、繰り返し加わった物理的刺激が前縦靭帯や後縦靭帯をけん引し、椎体との間に「微小な炎症が発生」し骨増殖(骨は炎症があると増殖する)がおきて骨棘を形成します。
それが周囲の組織を圧迫したり、後方に延びれば椎間孔を狭め脊髄神経を圧迫して神経痛の原因になることがあります。
勿論「痛いことはしない」という疼痛回避療法で炎症が治まり、殆どの患者さんが楽になりますが検査をすれば、相変わらず変形は残ります。
つまり治るキーポイントは変形の有無ではなく炎症の有無なのです。27.jpgのサムネイル画像

28.jpgのサムネイル画像29.jpgのサムネイル画像炎症が発生する原因は日々の生活や仕事(肉体労働)やスポーツです。一般に運動は身体に良いという、固定概念が出来上がっていますが、とんでもないことです。野生動物は不必要に目的もないのに走り回っているものは一匹もいません。
必要最小限の範囲に留めています。彼らは常に飢えとの戦いと、繁殖の使命がありますから、エネルギーを無駄にはしません。
彼らが運動している時は常に意味があるのです。従って運動し過ぎて身体を壊している動物はいないのです。わざわざ運動している動物は人間だけです。
文明生活であまりにも退化し過ぎるので、運動は最小限必要です。運動の程度は、適度な発達を維持し、決してやり過ぎない、壊さない範囲内が理想です。
運動は両刃(もろは)の剣と言いまして、日本中でどれだけ沢山の人が、運動の恩典よりも弊害の犠牲になっていることか、また運動のために治らないでいることか計り知れません。
(2)脊柱管狭窄症
これは椎間板症や椎間板の変性などで椎間板の扁平化が発生し、脊髄を入れている脊柱管の内腔を狭めたものと、変形性脊椎症の骨棘などが合併して、結果として脊髄を入れた脊柱管の内腔が顕著に狭くなり、神経や血管を締め付けた結果発生します。
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31.jpgのサムネイル画像 症状は間欠性跛行(かんけつせいはこう)(時々びっこを引く)といって一定の距離を歩くと足が痛んだり、つってきたりして、しゃがむか、前かがみで休むと楽になりまた歩けるようになる、ということを繰り返す状態です。
脊柱管は腰椎を反らすと内腔が狭くなり、前かがみで開くようになっていますから、前のめりで歩くとか、自転車だと全く症状が出ない人もいますので、生活を工夫すべきです。
運動していて痛みのひどい脊柱管狭窄症の人は、神経に炎症を起こしていますから、安静によって炎症が治まるとかなり楽になります。なおこの病気の人は、運動しなければいけないと、強列に思い込んでいる人が圧倒的に多いのが特徴です。
したがって痛いのを我慢してますます運動に励み、本当は治りたいのに、逆に悪化させるために努力をしているということになります。
この人たちが症状の出始めのころに、痛みの原理を理解し、神経の根っこで靴ずれがおきているのだから、安静を維持して傷口を擦らないでいれば、治ってくるという考えに思い至れば、そんなに悪化させないうちに素直に治るのです。誠に残念でなりません。

32.jpgのサムネイル画像 9間違いだらけの痛み対策
(1)ビッコを引くことは治るために合理的

わたし達は、ふつう足が痛いと自然にビッコを引いて悪い足をかばいます。犬、猫、牛、馬など身近な動物や野生の動物も例外なく全てそうしています。
しかし人間は軽い場合必ずしもそうではなく、人に見られて恥かしいから痛みを我慢してなるべく普通に歩こうと努力したり、背中の曲がった老人などは、姿勢をよくしなければ次第に曲がってしまうのではないか、あるいは曲がっているから痛みが取れないのだから、と痛みを我慢して無理に背骨を伸ばして歩く人がいます。
あるいは動かさないでいると、筋力が落ちたり、関節が固まってしまうのではないか。
また、仕事だからと、やむを得ず使ったりして悪化させています。さらには、わざわざ試しの動作をして悪化させている方もいらっしゃいます。
例えば、こういう動作が痛かったけど、今日はどうかな?、などと痛みの程度と場所を確認するために、わざわざ痛みを誘発する動作をしてみたり、だいぶよくなったので、どの位治ったか試しに痛みが出るまで歩いてみた、などは、せっかく治りかけていた痛みを、わざわざ引きずり出してしまう「再受傷」ということをしている訳です。
人間だけが痛みを誘発する動作や姿勢を一所懸命にするくせがあります。
丁度、かさぶたを無理にはがすと再び組織が破壊され出血するようなものです。
あるいは、シッカリと固まってしまえば強固なはずのコンクリートやセメダインを、乾くまで待ち切れず、まだ柔らかいうちに動かしてみるようなものです。
こういうことをするのは人間だけで、動物はやむを得ず危険がせまっている以外は、決して痛い動作は自ら進んでしません。
人間は大脳があるから、それが邪魔して本能通りに対応できないのですが、動物は余計な知識を持たないため、本能と反射行動のみで正確に対処しています。
本能は単細胞生物の時代から36億年の歴史があり完璧なのです。片や大脳は、せいぜい500万年の歴史ですから不完全なものです。わたし達はもっと内なる本能と直感の声に耳を傾ければ、何事にも、より完全に近い対応が出来ると思います。
2. 痛いところをしきりに揉むという行為はダメ
(1)痛いところには炎症がある

痛いところは大抵炎症が起きています。揉むという行為で気持ちがいいか、楽になるのは適応ですが、若し痛みがあるならやってはいけません。
また気持がよくても、長時間やり過ぎると後でもみ返しや、もともとの炎症症状を悪化させる場合がありますので、気を付けることです。指圧の強さは「痛気持ちよい」まででとどめましょう。
さするという行為が気持ちよければそれにしておくことです。とにかく不快なことはやらないことです。
ときどき治療行為そのものが耐えられない程痛くて、悲鳴を上げながら治療を受けた後で症状が悪化するというのを耳にしますが、それは過剰な刺激で炎症を引き起こしているのでよくありません。
事実そんな場合は治らないばかりか、悪化して行きます。実際に指圧した付近に青あざ(内出血)が沢山出来ているケースもあります。つまり指圧やマッサージは軽い打撲と同じなので、力と量が適性に行われなければなりません。
また、患部を温めるか冷やすかも間違っているケースがよくあります。例えば、首肩のコリから来る頭痛を冷水タオルや氷枕、冷湿布などで冷やしている人が居りますが、コリの為に循環障害があるところへ冷やすと、よけい血管が収縮し循環障害が増強して痛みも悪化や長期化します。
コリの強い人がクーラーで冷やし過ぎたり、吹き出し口に席があったりすると頭痛が出やすくなります。そういう場合は温める方が気持ちよいし、筋が弛緩し循環障害が解消して快方へ向かいます。 
逆に捻挫の直後に皮下出血や熱感、腫れ、痛みなどがある場合は冷やすと気持ちよいし、楽になります。それがはっきりと実感するのは、火傷の直後ヒリヒリした熱感を伴う痛みがあるとき、温めたら強烈に痛みが増しますし、そして冷やせば気持ちもよく、はっきり楽になった経験が誰しもあると思います。
このように温めるか冷やすかということは重要な要素です。一般に受傷直後の急性炎症は冷やし、慢性化した疼痛疾患で低気圧や冷えで痛みが増強するような症状は温めた方がよいし、実際気持ちもよいです。
(2)運動後の筋肉痛に指圧を強く行う愚かさ
運動によりブドウ糖が分解してエネルギーを産生しますが、その結果乳酸などの代謝産物が生まれます。
そして炎症が起きて筋肉痛になる訳ですが、この炎症時に指圧をするとさらに炎症を増幅させて余計ひどくなります。こういう場合は、軽くさする程度にしておく方が早く治ります。
しかしこういう時、指圧、マッサージの専門家に施術を受けると時にしっかりと揉んでしまうことがあります。お金を払ってわざわざ悪化させ、ますますひどくなるという皮肉な結果になっているひとがいらっしゃいます。
3.痛みの性質が悪性か良性かの判断
運動器疾患は最終的には炎症が発生して痛むものがほとんどですが、痛みを出さない姿勢で3~5日安静にしたにもかかわらず、痛みが平行か増強する場合は悪性のもの(ガンの骨転移や末期、あるいは内臓疾患など)の可能性がありますので病院へ行きましょう。
一般に運動器疾患では、動きや姿勢によって痛みの有無や、軽重が変化します。また運動器疾患では、構造上の変化がある場合はそれを解決しないとらくになりません。例えば関節の脱臼や骨折、腱断裂などです。
また、いくら安静にしてもらくにならない腰痛がありますので特記しておきます。
腰椎を前屈したままで左か右に捻った際、椎体後部にある椎間関節が横にずれたままひっかかっている場合です。
これは、関節を元の位置に戻してやらないと、いくら安静にしても治りません。治し方は、腰椎を最大前屈位にして、はずれた側と反対方向に捻って整復してやる直後に楽になりますが、念のため左右に捻っておくとよいでしょう。
何日も同じ痛みが続いていたのが、一瞬のうちに治りますから覚えておいて下さい。
(1) 腰椎は構造的に捻りが苦手
因みに、腰椎はその構造上前後の屈曲は得意で、捻りは苦手に出来ています。腰椎の椎間関節は前後にはよく動くが、捻りに対してはストップがかかるように出来ています。
イルカやくじらは、もとは陸上にいた哺乳類が、海に入ったものですが、尻尾を上下にあおって泳ぐのも、脊椎の構造が人類と同じく前後にあおるように出来ているからです。
魚類は尾を左右に振ります。したがって近年になってから発達したクリケット、野球、ゴルフなど腰を捻るスポーツは注意が必要です。
私達は普通何かを殴る時、横または下から殴るなどの捻る動作はせず、上から下に向かって叩く前後の動きが自然で理にかなっているので安全なのです。
(2) 運動器系の痛みは靴ずれを治す要領で
運動器系の痛みはどれ程慢性化していようとも、大なり小なり今現在炎症があります。例えば、2年も3年も増悪を繰り返していたり、または次第に悪化していたり、あるいは急性期の痛みほどは痛くないが、その後痛みが平行線の場合などですが、いくら慢性化していても痛むところは必ず炎症があります。この炎症を治めれば痛みは治ります。
運動器疾患の慢性的な痛みは、損傷や物理的刺激が殆どで、簡単に言えばくり返しそこを刺激することで炎症が起きてセンシティゼイション(感受性亢進)状態となっています。
ですから、そこをこすらないようにして一定の期間(炎症が治まる期間内)維持すればよいのです。靴づれを治すのに靴をやめて、草履か下駄にはき替えて、かかとの赤むけの部分をこすらないようにして、2~3週間経てば新しい皮膚が再生してきて治るのと同じ原理です。
また痛みはその部分が傷になっていて動かした時そこが擦られて発生しますから、痛むか痛まないかで傷を触ったかどうかが分かる訳です。炎症が原因で痛みのある運動器疾患(筋、骨、末梢神経系)は、とにかく痛みを出さないようにして、一定期間生活すれば殆ど治って行くものです。
当院の症例で、7年間痛み続けてその間に有名な病院、大学病院を13ヶ所受診し、神経ブロック注射もしたけど、三日と持たなかった人がいましたが、この原理で生活指導をし、針、灸治療を施行したら完全に治って、その後15年以上痛みは出ておりません。
4.安静とは痛みを出さない姿勢のこと
安静とは単に動かないでジッとしていることを言うのではなく、痛みを出さない姿勢のことをいいます。その意味は安静イコール動かさないこととは限らないということです。
というのも腰椎椎間板ヘルニアなどでうつ伏せや仰向けで、下肢の方へ放散痛が次第に増してくる場合があります。
そういう姿勢は神経根の傷口を突出した髄核が触っている姿勢ですから、そういう状態で治療したり、安静にしていても治らないばかりか、痛みが増強して次第に悪化してゆきますから、治療中や日常の姿勢なども大切な要因です。 
痛いということは、今現在傷口を刺激しているという証明ですから、繰り返し痛みを出していれば炎症が治まらず、痛みが慢性化して行くのです。また自宅で安静のつもりで寝ていてもダメージポジション(痛みを悪化させる姿勢)で寝ていては、痛みが増してくるばかりでなく長期化しますので、あくまでも痛くない姿勢が治る条件です。
あるいは安静にしているにも関わらず、痛みがひどくてどうしても治まらない場合は、中でも一番らくな姿勢を捜し出して、それを維持していると、やがて痛みが軽減してきます。次の段階として動かさなければ痛くないようになり、さらに良くなると動かしても痛くないという風にして治っていきます。
椎間板ヘルニアの重傷者は入院して硬膜外ブロック注射をしますが、この場合の治っていくための要因として二つあります。ひとつは薬の効果と、もう一つは入院で絶対安静に近い環境が整うことも見逃せません。
自宅にいますと、特に主婦などは、最低限トイレや風呂、人によっては炊事、洗濯までやってしまい安静が出来ていないのです。また本人は仕事をしていないから、それを安静だと思い込んでいますが、体の側から見れば安静になっていないケースが多々あります。
1日に例え数回でも痛みを誘発すれば、傷口をひっかくのと同じですから治りが遅れるのです。くどいようですが「安静とは痛みを出さない姿勢」のことで、それを「治るまで維持する」ことがより速い完治につながるのです。
その期間の長短は症状の重症度によりますが、これらを徹底すれば最短時間で治ります。極論を言えば、たとえ歩いたとしても、歩行の最中とその後も痛みが出なければ、患部の組織は刺激されていないことになり、安静が保たれているということになります。
5 通院治療の考え方
通院と待合時間や検査、治療、リハビリなどのどこかで痛みが強く出れば悪化します。自宅から病院まで移動する際に痛みが出る方、待合の椅子に座っている姿勢が痛む方、X線やMRIの検査中の姿勢で強く痛むケースがあります。
こういう場合は通院でよくなる成分を1として、通院で悪化する成分が2とすると差引-1ですから、通院すればするほど症状は悪化するという皮肉なことになります。
また実際にそういう方が沢山います。しかも我慢強く、まじめで、義理堅く、クレームも言えない善良な人。あるいは毎日通えば早く治ると思い込んで頑張る人ほど、そういう結果になっています。
そういう場合、当院では急性期が過ぎて痛まずに、通院できるようになるまで往診にするか、または通院治療の間隔を空けます。
(1)ヒーリングポジション(healing  position)
ヒーリングポジションとは文字通り治る姿勢のことです。
長期間治らないで悩んでいる方達の共通項は、日常生活で痛みを誘発する姿勢や動作を繰り返していることです。
痛みを出す姿勢とは、体の内部で痛みの発生原因となっている傷口や炎症部分をこすったり、圧迫したりして刺激をする姿勢のことです。
例えば、頚部や腰部に椎間板ヘルニアが発生したとします。椎間板ヘルニアは、軟骨がひび割れて中味の髄核がとび出し、神経根を圧迫して炎症が発生し、神経の支配領域に痛みやシビレ、マヒなどが発生します。
そして姿勢によって髄核が神経根部を圧迫するかしないかで、痛みが発生するか、消失するかが決まります。そして圧迫が解除される姿勢を維持しておけば、神経根の炎症と腫が引いて、痛みが軽減して行き、やがて治ります。
つまり痛みが出ていない時間は治癒機転が働いている時間帯ということなのです。そしてヒーリングポジションは他人に聞いてもわかりません。
しかも個々人で異なりますから、自分の体と相談して、一番痛くない姿勢、または、全く痛まない姿勢を見つけること、それがヒーリングポジションです。
(2)ヒーリングモーション(healing motion)
これは痛みや症状を出さずに出来る運動の方向や、あるいはその方向へ動かすと気持ち良くて、症状が楽になる動作をヒーリングモーションといいます。
具体的には気持ち良いストレッチ体操や、アイソメトリクス・ストレッチング(関節が動かない筋トレ)などです。
これは循環障害に陥って病んでいる組織が、痛まないように動かすことで循環や栄養障害が改善し、老廃物や痛み物質が患部から排除され、最終的には腎臓から尿として排泄されます。
この積極的に治癒機転が働き出す動作のことヒーリングモーションと言います。もちろんやり過ぎてはいけませんが、適量にとどめればかなり有効です。
(3)ダメージポジション (damage position)
これは病状を悪化させる姿勢のことです。
痛みを発生している組織には損傷や炎症、循環障害などがありますが、運動器疾患では物理的にこの部を刺激すると痛みが発生したり、増強したりします。
痛みを誘発したり増強させる姿勢のときは、損傷や炎症部分を刺激して傷口を悪化させているわけで、いわば再受傷をしていることですから、ますます症状が悪化したり長期化して治らない訳です。
人間はしばしばこの痛みを誘発する姿勢をわざわざやっています。たとえば腰痛で背筋を真っすぐ伸ばせない人が無理にでも伸ばして姿勢よくしていないと治らないのではないか。
あるいはびっこを引くと楽なのに痛みを我慢して、わざと普通に歩こうとしたりなどです。
(4)ダメージモーション(damage motion)
ダメージモーションとは痛みを発生させたり、増強させる動作のことです。
わたしたちは安静にしていれば痛まないのに、ある種の動きやその方向によって痛みを感じることがあります。
それは、その動作のときに損傷した組織を刺激しているから痛みも出るし、慢性化もしてゆきます。
ところが、動物ではダメージモーションは敵に襲われるなどの、命にかかわるとき以外は決してしないのに、人間だけは治ったかどうか、あるいは少しはよくなったかどうかの試しの動作として、毎日思い付く度にダメージモーションを繰り返していることが多々あります。
動物のように本能の判断通りに痛いことはしないということに徹底しておけばよいのに、人間だけは完全な本能より不完全な大脳の判断を優先するから間違ってしまうのです。
(1) 早く治したければ適切な治療を選ぶ
特に運動器の炎症性疾患の痛みは、適切な治療を選ぶことが重要です。それと、生活の中で「痛む動作をしない」ということを併用することで、確実に治って行きます。
その際治療法の選び方に迷うことと思いますが、特に痛みの治療は、初期には炎症が強い訳ですから、あまり過激な治療は避けた方が良いでしょう。
良い治療の条件は①適正な治療方法、②適量のドーゼ(1回の治療量)、③適正な治療間隔、④全体の治療回数、そして言うまでもなく、⑤適切な生活指導の計5点セットが揃うことです。
その前に治療は先ず壊さないことが大原則ですが、往々にして治療が原因で症状が悪化することが珍しくありません。
不適な治療は悪化するか治らないかのどちらかです。患者さんにはそれが分からなくてもプロには分かります。治療後はっきり良くなるものを選び治療後一過性に悪化する好転反応は別として、少なくても治療後不変か悪化するものは避けるべきです。
(2)骨盤から頭部までの正しい形
健康には骨盤から脊柱、頭部、蝶形骨、下垂体、自律神経中枢、大脳に至る経路が正常で有機的にかみ合っていることが重要です。
人類は進化の過程で直立二足歩行を獲得し、それに適応してきた結果、人間になったわけですが、この二足歩行は、かなり高度な調節能力が必要です。
二足歩行をスムーズに行うには神経系、筋系、骨格系の絶妙なコラボが重要です。中でも重心の土台となるのが骨盤内の仙骨を基準にした、脊柱全体と頭部までのバランスが整っている必要があります。
(3)ケガをしたときは直ちにRICEを実行すると治りが早い
RはREST(レスト・安静)で、Iはicing(アイシング・冷却)、Cはcompression(コンプレッション・圧迫)、Eはelevation(エレベイション・挙上)の頭文字です。
R(安静)は痛い動作や姿勢をしないこと、患部を使わないことです。
怪我をした場合は仮に表に傷が無くても内部で血管が切れています。
それで腫れる訳ですから動かしていれば血管が修復されず、出血が止まりませんのでますます腫れて来ます。したがって安静は出血を早く止めるために最優先事項です。
I(冷却)は受傷部位には出血や炎症があり、発熱や充血が起こりますので、水や冷水、冷却スプレーなどで冷やすと炎症が治まります。
熱のある間は続けます。しかし熱が引いて炎症が治まった後は、温めた方が循環が回復して治りやすいのです。決して最後まで冷やし続けてはいけません。
C(圧迫)は出血している場合、患部を血が止まるまで一定の時間圧迫を続けます。皮下出血で腫れているだけなら、やはり弾力包帯などで軽い圧迫をしておくと、それ以上腫れにくいので治りやすいのです。
しかし決して末梢側に循環障害が出る程圧迫してはいけません。特に手足の場合ぐるりと一周するような締め付けは、腫れが酷い時には循環が完全に止まってしまいますので危険です。
あくまでも軽い圧迫に留めます。腫れがひどい所に圧迫が持続すると、フォルクマンの疎血性拘縮という大変な障害が出ることがありますので、腫れがひどいときは様子を見ないで病院に行くことです。
E(挙上)については血液や体液は重力で体の下方へ溜まりますので、患部が心臓より低くなっていると常時圧力がかかり、出血や腫れ、炎症がひどくなります。
患部を心臓より上にしておきますと、静脈やリンパ液は重力で心臓にもどるし、また呼吸のたびに肺と心臓の陰圧による吸引作用で患部の腫れがどんどん引いてゆきます。
そして炎症の五大徴候(発赤、腫脹、疼痛、熱感、機能障害)が揃って急速に改善して行きます。
挙上する高さは心臓よりはっきりと高くして(落差がある程よく効きます)、それを長時間(夜間睡眠中や日中もなるべく)やればやる程治りが早いのです。
このとき炎症を起こしている化学物質や老廃物は、心臓と肺をめぐり腎臓へ運ばれて濾過され尿として捨てられるため、新しい血液が患部へ流れ込んで組織の再生が活発に行われます。
逆に下にさげたままでいると、重力で患部とその周辺が腫れたままになって、その圧力で患部の循環障害が持続し、新陳代謝が行なわれず回復が大幅に遅れます。
したがってこのRICEを同時に行えば最短時間で治ります。しかるに医療機関は重症の入院患者を除いてあまり熱心にはエレベイション(挙上)を指導していません。
そのため骨折や重傷の捻挫、手術例などで大きな循環障害(腫れ、むくみ)のあるものは歩行や回復期間が倍ぐらい遅れることも珍しくありません。
この挙上は患部と周辺に少しでも腫れがある限り、暇さえあれば常に行うとよく、また受傷後いくら期間がたっていてもやるべきです。
生活指導は自然の摂理をよく分析して適切に行えば下手な治療より、はるかに優れていますので大いに利用すべきです。
(4)患部を冷やすか温めるかの判断基準
一般に新鮮なけがは冷し、慢性化した怪我は温めるという原則がありますが、厳密にいうと炎症と熱感が強く、痛みも伴うもので、冷やすと気持ちが良いものは冷やすように体が求めているのです。
顕著な例では火傷があります。火傷の直後は灼熱感と痛みが強く、冷水で冷やすと急に楽になることを経験している人は多いでしょう。
しかし、ぎっくり腰や首のねちがえのようなものは、患部が比較的深部にあるので新鮮ではあっても表面に熱感もなく、冷やしても気持ちよくはありません。反対に温めると気持ちがよいことが多いので、このような場合は温めた方が結果が良いです。
基本的に体を冷やすことは循環障害をきたし、痛みの改善と治癒が遅れますし、冷やし過ぎるとそのために痛みを誘発して逆効果を招きます。
肩こりからくる後頭神経痛(後頭部から側頭部、こめかみ、時に目の奥当たりに痛みが出る)はしばしば、その対応を誤って冷やしてしまい、悪化する人が多いです(その際冷たいものを押し付けると不快な感じがするものです)この場合、蒸しタオルや温熱器、風呂などで温めると気持ちが良いし、また改善します。 .
(5)人間の特徴である好奇心が症状を悪化させている
ひとは痛みを持ったとき、どういう時にどういう姿勢や動作で痛みが出るかを捜してみたくなる心理を持っています。
また、痛みの正確な場所を捜すために色々な動作をわざわざ試している場合が多々あります。その結果、痛みを悪化させたり、長引かせていることがあります。
この試しの動作は人間だけの特徴で、疑問なことを分りたい、知りたいという好奇心から来ています。そしてこの人間の特徴が科学的な発明、発見などの場合には利点として働きますが、痛みの対策では裏目に出ている訳です。
(6)生活指導のヒントは患者さんの生活の中にある
生活指導については、患者さんの痛みが出る状況を丹念に探って分析していくと、その中に指導すべき問題点とヒントが隠れています。
従って、単に病名を決めるためだけでなく「問診」は生活指導にとっても重要であります。
また、患者さん本人が原因を自覚していないことが多々ありますので、上手に原因とヒントを引き出して教えてあげる必要がありますが、しかしその際、治療家の思い込みからくる誘導尋問は判断をあやまるので気を付けなければいけません。
(7)薬を使うと返って治りにくくすることもある
① 痛み止めの薬は飲まない方が治りが早い
安静にしていても一時も我慢出来ない、強烈な痛みには痛み止めを使うべきですが、安静で我慢できる程度のものには使わない方がはるかに治りやすいのです。
運動器疾患では痛むところに傷や炎症があり、動かすことでその部分をこすったりして刺激し続けるから痛みが治らないのです。
つまり痛みは私達に治るためにはどうすれば良いかを教えようとしているのです。
痛む動作や姿勢をしなければ、組織の安静が保たれて治ります。一日痛みを出さなければ一日分、二日なら二日分治ってゆきます。
安静は炎症性の運動器疾患には、絶対不可欠の法則です。しかしそこで痛み止めを飲んでしまうと、傷を擦っているにも関わらず、痛いと感じなければどんどん動かして、傷を繰り返しえぐってしまい悪化します。
すると薬が切れたときに以前より余計痛みが強くなります。そのために長期化しているケースが沢山あります。最短時間で治るコツは「痛いことをしない」ことに尽きます。
③  安静にしていても我慢できないときのみ薬を使う
痛みが一日中持続しているケースでも、最も痛みが軽くなる姿勢を維持していれば、痛みは時間の経過とともに軽快してゆきますが、しっかりした安静でも我慢が出来ない強い痛みのときは、やむを得ず使うようにします。
また夜間などで周りの刺激が減ったときは、痛みを強く感ずる傾向があります。痛みが強ければ痛みそのものがストレスになりますから、睡眠不足にならないように薬を上手に使うとよいでしょう。
その際痛みが軽快,消失してもただ感じないだけで決して傷が治ったのではありませんから、しばらくは安静にするのは言うまでもありません。
痛み止めの内服薬は胃腸障害が出る場合がありますから、使うならなるべく短期間にすべきです。勿論ほかに重篤な疾患が隠れていないことが条件です。
もし別な疾患が隠れているのに、痛みという大事な信号を消してしまうと、手遅れになることがありますので、経過を注意深く観察して、正しく安静(ヒーリングポジション)にしているにも関わらず、症状が横ばいか、悪化している場合は何か、別な病気が隠れている可能性がありますので、詳しい検査が必要です。

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